2015年10月3日土曜日

LoL WCS2015 1日目と2日目の感想

10月1日から遂にWCSが開幕しました。WCSは世界の強豪が凌ぎを削る1年に1度のお祭りともいえるわけですが、今回は(できるだけ)その日毎の感想や新たな発見等をまとめとしてblogに投稿していきたいと思います。

今回はWeek1の1日目と2日目です。




・Ban

今回は今までのWCSとは違い、各国の予選からWCSの間にMetaの断絶がありました。ですから誰もがTop Orientedな構成になることがわかりつつも、しかし一方で実際にどういったChampionや戦略が採用されるのか予想が難しい部分があったと思います。
それだけにBan & Pickに注目していた方は多いと思います。

2日目までで12試合行われましたが、Ban/Pick率が100%なChampionは5体いました。



これらのChampionです。そのうちMordekaiserは全ての試合においてBanされ、一度もPickされていません。この中で最もPickされる回数が多いのはDariusとEliseであり、それぞれ7回、そのうち5勝していて勝率は71.4%です。OPと考えられており実際に勝率も高いことから、このBan/Pickの傾向は大会を通して変わることはなさそうです。
またGPは3回Pickされ、そして全ての試合に勝っています。彼もまた大会を通してBanされ続けていくことでしょう。
Luluはこの中では最も勝率が低い(40%)ですが、この大会のMetaから考えると彼女もまたDraftの中心に居続けることになると思います。そのMetaについてはのちほど。
Mordekaiserは・・・一度もPickされていませんから予想することが難しいですね。練習試合やSolo Qの結果からBan率100%になったのだと思いますが、ADCのPickが射程の長いChampionに偏っていることを考えると不思議な気もします。もしかしたらDragonによるSiegeが鍵になっているのかもしれません。

・Pick

Pickでは1つ面白い事実があります。


Braumが全てのChampionの中でPickされた回数が最も多いのですが、しかし一方で勝率は11%にとどまっています。Pickされた回数は9回、そのうち勝利したのは1回です。Braum自体の強さに疑いようはありませんが、使い方や構成への組み込み方といったところに誤解があるチームが多いのかもしれません。彼はPassiveな動きをするタイプのChampionであり、味方のCarryを守る能力に長けています。しかしいくつかの試合ではAggressiveな動きが求められる構成に組み込まれていました。その能力を十全に発揮しきれていないチームがあるようです。

・Draftの影響力

BanとPickを総合したDraftという観点からみると、今回の大会はDraftの重要性は依然としてかなり高いままであると言えると思います。すでにいくつかの番狂わせが起きていますが、そういった試合ではDraftで大きな有利を作りそのまま試合に勝利する、という形が多かったと思います。いくつかの例を確認していきます。

・Fnatic vs Invictus Gaming

この試合を「番狂わせ」と呼ぶことに違和感を覚える方もいることでしょう。実際試合内容としてはFnaticの完勝と言えるものでした。しかしSeason2から続く韓国/中国のEU/NAに対する優位という視点からみると「番狂わせ」と呼ぶことは間違っているとは思いません。


Draftが進む中でFNCがShenをPickしました。ShenはTop LanerとしてPickされることが多いですが、今シーズンに入ってからはSupportとしてもPickされています。FNCはTop Shenというのをちらつかせるという罠のようなDraftをiGに対して仕掛けました。

それに対してiGは乗っかってしまいます。ShenへのカウンターであるRivenをPickし、Midを最後まで残す決断をしました。これが敗着になったと言えるでしょう。理想はRivenではなくAzirをとることでした。Skarner、Azir、Asheの3人でゾーニングとDPSを高めつつ、Topでカウンターを当ててゲーム全体をコントロールすることができたはずです。ですが実際はFNCの罠に引っ掛かってしまいました。

FNCは返し刀でAzirを取り上げ、Sivirと相性のいいHecarimをPickしました。HecarimはRivenに対してつらいレーニングを強いられることになりますが、Huniは1st ItemをTFではなくFHにすることで耐えきることに成功しています。

iGはなんとかViktorでゾーンコントロールを試みますが、結局成功しませんでした。


・Flash Wolves vs Koo Tigers


5分10秒からDraftが始まります。

この試合のDraftは最初から最後までFWの狙い通りに進んだのだと思います。FWはAshe/Elise/KalistaをBanしました。AsheとKalistaはEngageに長けたADCです。Eliseは序盤から試合を破壊できるJunglerです。FWはKOOのEngage手段を削りつつ、序盤から試合を壊されないようにBanで対策しました。

一方のKOOはRek'SaiとGragasをBanし、FWのJunglerであるKarsaに圧力をかけていきます。さらにはLuluとGPを両方残し、FWにどちらを優先するのか選択を迫ります。

FWはGPを選択しました。彼を選択できたことで準備してきた戦略を実践する土台が整いました。
KOOは当然のようにLuluをとりました。LuluはLate Game ADCと相性が非常に良いですから、Kog'MawやJinx、TristanaといったChampionをADCとしてPickすることがこの時点で決定します。そしてそれらのADCを守る能力に長け、序盤から圧力を作り出せるLeeをPickしました。

それに対しFWはNidaleeとDariusをPickします。Nidaleeは序盤の圧力とPoke、DariusはSplit Pushと集団戦を考えていると思います。ですがこの時点でTopがDarius、MidがGPというのがばれてしまいました。KOOとしてはFWの構成を読み取れたと思ったでしょう。Botの2人はSivirとAlistarのコンビになると考えたはずです。

KOOはAlistarとJinxをPickしました。Late Game ADCとPeel能力に長けたAlistarをとることで構成を盤石なものとします。

FWは、ここでKOOを上回ります。VarusとMorganaをPickすることで、Engage構成からPoke構成に切り替えていきました。NidaleeとVarusのPoke、さらにはそこにGPの樽によるPokeとULTのゾーニングが加わります。Wave Clear能力も高いですからDariusのSplit Push能力も非常に活かしやすいですし、相手のCCはMorganaのBlack Shieldで防ぐこともできます。

一般的にKOOが実践したようなProtect the ADC構成はその名の通りADCを守ることを主眼におくために重心が後ろになりがちです。Engage能力に欠け、相手に射程を上回られてしまうとなにもできずにHPを削られることが多いです。FWはKOOの構成に対してカウンターを当てたと言えるでしょう。

KOOは最後にGnarをPickすることでEngageの要素を補いました。ですがGnarのEngageは非常に難しく信頼性に欠けます。ですが他のEngageが得意なChampionをPickするとDariusを止められなくなるでしょう。苦肉のPickというほかありません。

試合内容としてはKOOが序盤からすさまじい圧力をかけつつもFWが耐え凌ぎ、Poke構成のPower Spikeを迎えた途端に一気に逆転していくというものでした。


以上のように番狂わせというものはDraftという重要な場面で有利を作り出していたからこそ可能だったと言いきっても良いでしょう。LGD?なんのことでしょう。


・WCSのMeta

最後になりましたが、2日目まででわかったWCSのMetaを簡単にまとめておきたいと思います。
Metaの全ての始まりはTop Laneにあると言っても良いでしょう。Juggernautを始めとした強力なFighterが試合全体に大きな影響力を与えています。Duel性能、TPによる他のLaneへの影響力、そしてBlack CleaverとDead Mans Plateによる集団戦における存在感。これらが一体となって他の全てのPickや構成に影響を与えています。

Duel性能の高さから、最低限Tower下でFarmできるだけの性能が求められます。昨シーズンの後半から猛威をふるっていたMaokaiはULTのNerfによってWave Clear能力が削られたため、耐えきることが難しくなりました。そもそもJuggernautを始めとしたMetaのTop Lanerを苦手としていますから、今大会でMaokaiがPickされる回数は非常に限られたものになるでしょう。Rumbleも相性やDuel性能、そしてULTのCDが延びたことで対抗することができなくなりました。

ですからTopのPickが強力なFighterが中心となるのは致し方のない選択といえるでしょう。

そして依然として続くTopのTPがBotのSupportのPickに影響を与えています。2v2の状況だけで有利を作り出すためにSustainやLaningに長けたNamiのようなHeal持ちのSupportをPickしたいところですが、有利を作り出したとしてもTPで参加してきたTopのFighterたちに破壊されてしまいます。ですからHealではなく強力なCCでBot Laneをコントロールするしかないわけです。TPで敵が参加してきてもCCでコントロールできますし、逆に味方のTopがTPで参加してきたらCCで補助できます。

序盤、Botから試合を動かしていくことは非常に難しくなりました。SupportはそのCCを活かしてRoamで違いを作り出していくことが求められていると思います。

集団戦の状況を考えると、防具を固めたJunglerと共にTopのFighterたちも襲いかかってきます。彼らは硬く、そしてMSが非常に速いです。Black Cleaverのお陰で攻撃力も高いですから、できるだけ近づかせたくありません。となると対抗策は近づかないことと近づかせないことです。前者は射程の長さ、後者はゾーンコントロールということになるでしょう。Carryは射程が長く硬い相手にもダメージが通るDPSタイプが良いでしょう。となるとKog'MawやJinx、TristanaといったChampionになります。Midは射程の長さとゾーンコントロールのバランスが取れたChampionが良いでしょう。AzirやViktor、Oriannaになります。Luluは少し特殊で、ダメージを自身が出すのではなく味方のADCに出させます。GPをMidに置くというのも以上のことを考えると不思議なことではありません。ゾーンコントロールに長け、樽の射程も上手く扱えれば非常に長いですからね。

ですからADCは射程が長くDPSに長けたChampionが、Midは射程の長さとゾーンコントロールのバランスに長けたChampionが選ばれています。CCの豊富なSupportも集団戦においてゾーンコントロールをする主体として参加していることも見逃せません。

以上のことを簡単にまとめると、(1)Topは強力なFighter (2)Midは射程が長くゾーンコントロールに長けたChampion (3)ADCはLate Game ADC (4)SupportはCCの塊 となるでしょう。


さてこれで1日目と2日目のまとめはおしまいです。今大会は各地域間の実力差が埋まっている印象がありますから非常に楽しいものとなっていますね。またこういった短期間の間に行われる大会はその大会の中でMetaがどんどん変化していくこともありえます。Draftの情報を集め、変化を観察することも面白いかもしれませんよ。

1 件のコメント:

  1. とてもわかり易くて良い記事だと思いました。

    返信削除